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センチメントの彼岸

 投稿者:久保AB-ST元宏  投稿日:2017年 8月28日(月)13時48分4秒
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  I know Mr.中野真吾's heart can stay with my love♪
>わたくしの腐った耳には女子十二楽坊みたいに聞こえた部分も実は

■あは(笑)。
それ、すげー☆よく分かる。
私は、ルーツ・ミユージック、民俗音楽、ケルト音楽、スコットランド&アイルランドのフォーク、フィンランド音楽、クレズマーも好きなのですが、
時折り、私の耳も中野さんのように腐ります(笑)。
おそらく、「ルーツ・ミユージック、民俗音楽」は長年、聴かれてきたことで鍛えられてきたので、魅力的であると同時に、妥協の産物でもあるのでしょう。
それは現在の「芸能」の共通点でもあります。
それでも、「そこから魅力的な部分を聴きだせ!」と、おされ&スノッブな方が押し付ければ、私の耳は腐ります(笑)。
これは、表現の持つ両義性ですね。
追いかける写実、逃げられない写実。『森山大道論』(2008年、淡交社)で金平茂紀がスーザン・ソンタグ『ゆらぎ』の下記の部分を引用していました。

より魅力が受け入れられやすい(よりかっこいい)見方(a cooler way of looking)だ。
これこそ、私たちがアートと見なしている見方だ。

■つまり、ビートルズのルックスがすでに高度な表現であり、メッセージであった、と、私は読み換えました(笑)。
もう我々も、ジジイなので、自分の耳が「かっこいい」と受け取るセンサーを信じてもいいお年頃でしょう(がくっ。)。

>知っている曲と同メロのものがあって関連を想像してみたりしました。

■それも、とても面白い。
このシリーズが、なぜ、ここまでのボリュームが必要だったのか?の、ひとつの答えも、そこにあるような気がします。
ジジイでなければ辿り着けない彼岸。
そして、この感情を表現する時には、あのメロとシンクロする、とゆー無意識の豊かな澱。それも、ジジイの特権。

>切々としたラブソング

森山大道は、私が高校2年生の夏、北海道で3か月間の長期滞在をし、250本のフィルムを撮影しました。
私が通学していた国鉄の留萌本線にも彼は乗って撮影したようです。
『森山大道論』は初の回顧展のために発行された論文集で、
学芸員の岡部友子は、<北海道>シリーズについて、印象深い論考を書いています。
そこから、抜き書きしてみます。

四、センチメント <北海道>
森山大道が自ら弱みと自覚しているのはセンチメントだ。
かねてより「写真のうえでのセンチメントは一刻も早く切りたい」と発言しており、
その体質的に備わっている感傷的感性をあえて打ち消そうとした。
そして、写真の本質を見極めるためにより原初的なもの、アノニマス(anonymous=匿名)なものへと傾倒していった。
田本研造(たもと・けんぞう)を始めとする明治の北海道開拓使の記録写真は、ニプスと同様、森山大道に写真の原始に迫る啓示を与えたのだ。
彼が好むも好まざるも抜きにして、センチメントは「森山大道の核なるもの」の一面をリアルに映し出している。
拭い去ろうとしても拭いきれなかったセンチメントを逆に肯定すれば、<北海道>は抒情豊かで秀逸なコレクションと言えるだろう。

■私が早川義夫や、あがた森魚から受けるセンチメンタリズムは、何なのだろう。
それらは、一種の野蛮な、整理されていないものだから、聴く私を、ざわざわさせるような気がします。
それを洗練させて、整理したものが、たとえば、かぐや姫「神田川」なのだろうか。
だから、それは「成功」したのだろうか。つまり、それが「完成」なのか。しかし、聴く私を、ざわざわさせない。
それは、私の耳が腐っているからでしょうか。
一方で、かぐや姫「神田川」を地下からジャンプして、下水道で生々しい早川義夫&あがた森魚とつながってしまうのが、
『JUST A NORTHERN SONG  夢の隊列2005』6枚組CDなのでしょうね。
森山大道と、この6枚組CDセットが、<北海道>でセンチメンタリズムの彼岸と格闘した理由は、
おそらく、北海道が得体のしれない、野蛮で、整理されていない膨大なアノニマスを抱えたまま、そこに広がっているから、でしょうか。
その結果、森山大道は250本のフィルムを、夢の隊列は6枚組CDを、それ&ぞれ膨大に吐き出す必要があった、とゆー因果の意味。
センチメンタリズムは「芸能」に回収されやすいからこそ、そこに踏みとどまる個性的なペーソスがまた必要なのでしょう。
「匿名」と「個性」の往復に、表現者は彷徨った果ての彼岸を、作品と名付けるのでしょうか。

http://www.geocities.jp/kyouhanshinbun/index.html

 
 
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